【活動報告】「北海道・KUBOTA AGRI FRONTなど見学&交流会を実施」

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【活動報告】「北海道・KUBOTA AGRI FRONTなど見学&交流会を実施」

2024-07-25

北海道・KUBOTA AGRI FRONTなど見学&交流会を実施

 7月25日、北海道北広島市で会員企業・団体の30 人が参加し視察と交流会が行われた。昨年3月にオープンした北海道ボールパークF ビレッジ内に開設したクボタの農業学習施設「KUBOTA AGRIFRONT」と、北海道日本ハムファイターズの本拠地「エスコンフィールドHOKKAIDO」を見学。また翌26日には余市町の「ニッカウヰスキー余市蒸留所」のミュージアムを訪問し、北の大地における新たな取り組みを学んだ。

酒井恭佑氏の考える持続可能な街づくりとは

 F ビレッジの運営会社である(株)ファイターズスポーツ& エンターテイメント事業統轄本部企画統括部事業企画部部長の酒井恭佑氏にF ビレッジのコンセプトや持続可能な街づくりについて、次のとおり話を伺った。
 Fビレッジは新千歳空港と札幌市の中間に位置し、60 分圏内には北海道の人口530 万人中300万人が居住する。敷地面積は32ha で、うちエスコンフィールドは5ha。開閉式屋根の天然芝球場で 、ホテル、サウナ、クラフトビールの醸造レストラン、国内最大級の子供の遊び場などを併設する。座席数は2万9000だが、座席チケットがなくても入場できるため、総収容人数は3万5000人。「共同創造空間」をコンセプトに様々な事業者と協力して運営しており、パートナーと共創で野球事業と非野球事業の混合など来場者が集う多様な空間を構築している。北海道ならではの食の体験、新規イベントの仕掛けで観光地化を強化していく方針。酒井氏は「困難が生じたときは開業時からのキーワード『世界がまだ見ぬボールパークをつくろう』に立ち返る」と、球場を核とした街づくりへの 意気込みを語った。

ファイターズスポーツ&エンターテイメントの酒井恭佑氏

廣瀬文栄氏が語るAGRI FRONT を通じた取り組み

 次に(株)クボタKESG 推進部担当部長の廣瀬文栄氏が演台に立ち、クボタのサステナビリティ経営についてAGRI FRONT を通じた取り組みを交え講演した。廣瀬氏は冒頭、「クボタはトラクターなど農業機械のイメージだが、実際は『食糧・水・環境』の領域で多角的かつグローバルに事業活動している」と話した。現在の売上の海外比率は78.7% に上り、M&A 展開も進んだという。「豊かな社会と自然の循環にコミットする『命を支えるプラットフォーマー』」を目指す姿とし、経済的価値だけでなく社会的価値の追求、そしてステークホルダーとの関係性も強めていく。

クボタの廣瀬文栄氏

 AGRI FRONTは2020 年夏に声がけされたのが始まり。企業PR 施設を持たぬ中で、ブランドの観点からやるべきと決断、急ピッチで企画化を進めた。ファイターズ、北海道大学、クボタの三者で連携協定を結び、北海道の基幹産業である農業の持続可能な発展に貢献することを目的にスタートした。施設のコンセプトは未来を志望する仲間づくりで、「農業は地球からの宿題だ」をキーメッセージとする「農業学習施設」という位置づけにした。AGRIFRONT という名称も、世界中の人にどういう場所であるか通じやすく、施設をブランド発信の場にしたい思いから名付けられた。用意したプログラムは、農業経営シミュレーションゲームやガラスハウスによる最先端の農業テクノロジーなど。カフェの併設にもチャレンジした。2023 年の来場者数は、フルオープンが9 ヶ月間ながら目標の7 万5000 人をほぼ達成できた。廣瀬氏は今後の方針として「大学や企業とのコラボレーションにより、持続可能な社会構築に向けた課題解決型コミュニティとしてこの場所を育てていきたい」と締めくくった。

食と農業の重要性について学ぶ

 講演後、AGRI FRONT 館内を見学した。大画面の映像空間で食と農業の重要性を体感し、続いて5チームに分かれて農業経営シミュレーションゲームに取り組んだ。何を栽培し、どう育て売るのか、選択型クイズ形式で競い合い大いに盛り上がった。またガラスハウス「TECHLABO」では自然換気や地中熱を利用した屋内栽培でトマトやアスパラガス、レタスを育てる様子を目にした。環境を細やかにコントロールし、自動搬送ロボットも活躍する設備で、食と農業の魅力をともに学べる仕組みを体験することができた。

大人でもつい夢中になってしまう農業経営ゲーム

球場見学で親睦を深めた

 エスコンフィールドは試合のない日だったが、観光客はじめ多くの見学者でにぎわっていた。ボールパーク全体の縮小模型を用いて施設のコンセプトについて説明を受けた後、実際にバックネット裏や内野席に入り座ってみると、シートの広さ、柔らかさに感心する声があがった。また地場の飲食店や全国チェーン店が軒を並べる様はお祭りを感じさせ、様々なグルメをスマホアプリで注文すれば座席に届けてくれるサービスもあるという。VIP ルームや記者会見場など通常は見られない場所にも案内され、偶然だが屋根が空いた状態だったこともあり、得難い経験となった。見学後はAGRI FRONT に戻り交流会を開いた。

1塁側、3塁側双方に巨大なスクリーンを設置

余市町のニッカウヰスキー余市蒸留所を訪問

 翌日は余市町のニッカウヰスキー余市蒸留所を訪問した。ここは和洋折衷の建物が並び、一部は重要文化財に指定されている。精麦から石炭直火蒸留の様子、貯蔵熟成までの製造工程を見ることができた。ニッカミュージアムは2021 年10 月に展示内容を刷新してオープン。美術館を思わせるような各種ディスプレーが実に楽しい。ニッカディスティラリーサービス大川高司社長の案内により、展示されているブランドの解説やニッカの歴史、そして創業者・竹鶴政孝のウイスキー製造にかける思いを知ることができた。昼食のため近くの旅館に移動し、人気の地場産ワインを味わった。

ニッカを代表する4つのブランドの世界観を紹介

 その後バスで北広島のFビレッジに戻って解散。希望者はその夜のナイトゲーム、日本ハム対西武戦を観戦した。

アグリフロント前で全員の記念写真